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「テーマ」を持たない時代 (2015年11月11日更新)

「テーマ」を持たない時代

「歴史的法則として、現代に先行する時代の終わる頃、その時代が直面した諸問題に対し、暫定的な解決策を提供することができれば、次の世界において全面的な支配権を握る事が出来る」と、歴史家 アーノルド・J・トインビーは述べています。

地方自治体が「平成の大合併」を行う事で起債できる地域振興基金(合併特例債)がありますが、これを用いて地域活性化のための施策を行ったとしても、そもそもその地域に成長の基盤が出来ていなければ、それは血税の無駄遣いであり、結果として地域の疲弊は加速するのみとなります。
現在、高齢化、少子化、経済劣化、森林・農地・里海の劣化、産業基盤の劣化等々が、地域の疲弊を加速させています。その結果、地域振興基金は既得権益者への再投資に使用されるだけで、本来その恩恵を受けるはずである次世代への展望につながらないというのが実情です。

林業栄えて、森林が疲弊し、
農業栄えて、里山が疲弊し、
教育栄えて、子供が疲弊し、
企業栄えて、社員が疲弊し、
国家栄えて、国民が疲弊する。
個人栄えて、公共が疲弊する。

疲弊した社会は、時代の激流に翻弄されずに堂々と持続し続ける事ができるのでしょうか?
時代の激流の中で生きていくには、確固としたテーマが必要です。
しかし今、日本という国にテーマはあるのでしょうか?国民それぞれにテーマはあるのでしょうか?
テーマを持たない国は、テーマを持たない国民を作ってしまいました。
1979年から大学入試がマークシートでの共通一次試験となり、1960年以降に生まれた世代は大きな影響を受けてきました。即ち、世の中には「正解」があり、選ぶ能力が必要とされる時代なのです。日本人の大多数が、時代のテーマを「創り出す」のでなく、テーマを「選ぶ」人だということです。

そのような、テーマを創り出せない国民が、どんな国家を作れるのでしょうか?
このような時代に国民として、どのようなテーマを持つべきなのでしょうか?

明治という時代のテーマだった「富国強兵」は、現代には時代遅れだということは明確です。国が軍事や経済で強くなっても、国民が疲弊しては何にもなりません。
衣食住足りて不幸になる!長寿が不安になる!電脳社会で世界の情報にアクセス出来る!
今の社会に必要なテーマは何なのでしょうか?

私は、高度成長社会が終焉して久しいのに、国家が成長戦略を描き続ける事は、新しい欲望を喚起させるのみで、社会を疲弊させ続けるベクトルを発生させてしまうと思います。
これからは、超高齢社会を迎える事もあり「高度成熟社会」を目指さなければならないと思います。高度成熟社会では、精神の成熟が必要であり、共感出来る感動を作り出す社会を目指すという事になります。
そのような国のテーマは「respect ( 尊敬する、敬意を払う ) が沢山ある国」です。

世界から尊敬され、敬意を払われるということは、富むことでもなければ、軍事的に強くなることでもありません。奉仕する精神と共感する感動の表現を産むことこそが価値であり「respect」へとつながります。

日本の存在価値が「respect」となれば、多数の敬意を払われる大人、多数の敬意を払われる企業、多数の敬意を払われる行政、多数の敬意を払われる政党、多数の敬意を払われる大学、となり、成熟社会日本の存在価値は、今の経済成長優先のシナリオよりも、大幅に増幅するでしょう。

テーマなき人々に「テーマ」を!
生かされている生命に敬意を払いましょう。

 

 

2015年11月11日
アミタホールディングス株式会社
代表取締役 熊野英介

会長メッセージ


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※2013年3月11日より、会長・熊野の思考と哲学を綴った『思考するカンパニー』(増補版)が、電子書籍で公開されています。ぜひ、ご覧ください。

※啐啄同時(そったくどうじ)とは

 鳥の卵が孵化するときに、雛が内側から殻をつつくことを「啐(そつ)」といい、これに応じて、母鳥が外から殻をつついて助けることを「啄(たく)」という。 雛と母鳥が力を合わせ、卵の殻を破り誕生となる。この共同作業を啐啄といい、転じて「機を得て両者が応じあうこと」、「逸してはならない好機」を意味する ようになった。

 このコラムの名称は、未来の子どもたちの尊厳を守るという意思を持って未来から現代に向けて私たちが「啐」をし、現代から未来に向けて志ある社会が「啄」をすることで、持続可能社会が実現される、ということを表現しています。