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「終わりの始まり」(2016年7月11日更新)

「終わりの始まり」

イギリスのEU離脱が決定しました。
この先、世界は経済的にも政治的にも不安定になると予想されます。世界市場の停滞は、国内市場の停滞につながります。日本は、赤字国債を多く発行し、いまや借金が1049兆円を超えています。

<国債の主要引受先>

引受先

国債額(兆)

割合(%)

日本銀行

約364兆

33.9%

メガバンク

約275兆

25.6%

生損保

約212兆

19.8%

公的年金

約52兆

4.9%

年金基金

約35兆

3.2%

海外

約110兆

10.2%

また、日本銀行が発表したマイナス金利政策による三菱東京UFJ銀行の国債入札特別資格返上、日本銀行の年間80兆円の国債購入、さらには年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が137兆円以上を国内外の株式に投資など、我が国の経済方針の主流は「借金を増やし、日銀が換金化する事で、為替と株価を上げて、消費と雇用を増やす」というマネタリズムの手法を主流にしています。
大量生産、大量消費、大量情報のマスマーケティングの終焉がバブル経済の崩壊と共におとずれましたが、それに変わる実体経済の経済モデルがいまだ確立していないのです。これは、日本だけでなく、世界の問題です。

今回のイギリスのEU離脱の本質はなんでしょうか?
17~18世紀にかけて、市民革命や産業革命がイギリスから起きました。
古い常識が終わり、新しい時代が始まりました。

日本がバブル経済だった時期、世界では冷戦時代が終わり、アメリカが世界の中心となるパクスアメリカーナと呼ばれるグローバル時代が始まりました。そのアメリカから情報ハイウェイというインターネットの新しい産業革命が始まり、ICT (インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の時代がおとずれます。その結果、マスマーケティングやマスメディアの情報サービスによって創られたグローバル的価値観が、画一化した社会から「離脱」し、パーソナル的価値観を求め、その価値観が、新しい共同体を形成していきました。アラブの春と言われたジャスミン革命や香港の雨傘革命なども同様です。1つの大きなスーパーコンピューターによる中央集中型の情報発信ではなく、パーソナルコンピューターやモバイル端末の普及に象徴されるような個別分散型の情報発信が、工業的産業革命時代を終わらせ、そして新たな時代を創っている感覚があります。

今回のイギリスのEU離脱は、新しい市民革命の始まりかもしれません。

EUという巨大なグローバル官僚機構からの離脱であり、金融経済優先思考から「自分たちのことは自分たちで決める」という共同体経済優先思考になったという事を示しているのではないでしょうか?

 産業革命を起こしたイギリスから、アメリカが独立革命を起こして「離脱」したように、イギリスは、パクスアメリカーナのグローバル金融経済社会と同様の性格を持つEU経済官僚社会から「離脱」して、共同体社会を目指したと考えられないでしょうか?つまり、グローバルな市場は賛成だが、グローバル金融経済によるグローバル社会からの「離脱」をするということであり、ローカルな共同体を重視した社会を目指したのだと思います。

「離脱」は、新しい「集合」の始まりかもしれない
人間は、一人では生きられません。人間は、生物的進化を遂げたあと、今も社会的進化を遂げ続けています。
社会というものは、仲間として感情移入出来る範囲、つまり脳が判断出来る範囲です。脳の進化は、約10万年前にホモ・サピエンスがアフリカ大陸からユーラシア大陸に出た時から、そんなに進化していないと思います。約10万年前から脳は「共同体」という仲間を判断出来る様になりました。それ以来、人間は理想的な共同体を求め続けました。

しかし、世界は均質ではありません。
共同体を基本単位とした部族国家。
共同体を統治した集権国家。
共同体の自主性を重んじた封建国家。
これら3つのパターンの共同体が、前近代に成立していました。

ユーラシア大陸の西の端に発生した封建国家イギリスから興った産業革命によって、個人の自主性を重んじる「資本主義」が生まれると同時に、大幅な社会的格差が発生しました。それを危惧したマルクスは、貨幣を重んじる資本主義ではなく、労働を資本とする考え方として「資本論」を書き、共産主義を提唱しました。王政のロシアではレーニンが、共産革命を興し、資本家や中世的価値観から独立した労働者の共同体を創りました。その一方で、世界の共産主義化を恐れた西洋社会は、共産主義国家に対抗して、近代資本主義国家の立憲君主制や共和制でも格差を縮めることが出来るように、所得税での社会保障制度などの国策を行うことで、社会的格差の是正をしていきました。しかし、所得税が社会福祉から戦備拡充の公共投資に使われてしまい、国は帝国主義化していき、第一次世界大戦が起こりました。そして、敗戦国や新興国の日本は、ナショナリズムに訴えて結束主義のファシズム国家という国家共同体を創りました。しかし、それらも時代の大きな流れの中で、解体していきます。そして、戦場となったヨーロッパは国家の圧力から国民の権利を守るため強い組合を創り組合型資本主義共同体(EU)へ進化していきました。

このように20世紀は、よりよい社会を求めて様々な共同体が形成された「実験の世紀」だったとも言えます。 

国家共同体、組合型共同体、組織型共同体。
そして社会の秩序や権威が崩れた時に発生する宗教型共同体。
これらの共同体は、共同体内では価値観が同じなので、人々は良くも悪くも安心ができます。しかし、どの共同体もパーソナルな価値観を集合してできたとはいえません。多数決が共同体の価値観となり、人々はその価値観に矯正されていくのです。

パーソナルな共同体を作らなければならない
冷戦の終焉から始まった外部環境変化の激しさは、時が経つほどに不確実が増加し、人々は不安になっています。
今こそ、新しい共同体モデルを作る時期です。

ユーラシアの東の端、つまりこの日本から新しい共同体モデルを作り、20世紀の実験に終止符を打つべきだと思います。

それは、グローバル金融経済社会の終わりであり、ローカル共同社会の始まりです。地域の持続可能社会と企業の持続可能組織を作るために、それぞれ「循環型地域共同体モデル(持続可能な地域モデル)」と「循環型産業共同体モデル(持続可能なサプライチェーンモデル)」という新たな共同体モデルをつくり、ICT社会の進化による工業的近代に代わる社会を創らねばなりません。「実験する世紀」から「実行する世紀」へ移行すべき時代です。

人類が社会的進化を続ける動物なら、新しい社会(共同体)を作れば、人類はもっと進化することができます。自然資本や人間関係性資本が増加する新しい共同体を創り、それをネットワーク化した生態系のようなエコシステム社会を構築すれば、人類はさらに進化し、豊かで幸せな未来を創っていくことができます。

「いざ!意味ある未来へ!」


2016年7月11日
アミタホールディングス株式会社
代表取締役会長兼社長 熊野英介

会長メッセージ


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※2013年3月11日より、会長・熊野の思考と哲学を綴った『思考するカンパニー』(増補版)が、電子書籍で公開されています。ぜひ、ご覧ください。

※啐啄同時(そったくどうじ)とは

 鳥の卵が孵化するときに、雛が内側から殻をつつくことを「啐(そつ)」といい、これに応じて、母鳥が外から殻をつついて助けることを「啄(たく)」という。 雛と母鳥が力を合わせ、卵の殻を破り誕生となる。この共同作業を啐啄といい、転じて「機を得て両者が応じあうこと」、「逸してはならない好機」を意味する ようになった。

 このコラムの名称は、未来の子どもたちの尊厳を守るという意思を持って未来から現代に向けて私たちが「啐」をし、現代から未来に向けて志ある社会が「啄」をすることで、持続可能社会が実現される、ということを表現しています。