アミタ(株)が環境省の「脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務」に採択されました。~インドネシアとマレーシアで脱炭素・循環型事業モデルを推進~

アミタ株式会社(以下、アミタ)は、環境省が実施する「令和5年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務(以下、本事業)」に、北九州市をはじめ7社2自治体1団体と共同で応募し、インドネシアとマレーシアにおけるプロジェクトが採択されました。インドネシアでは、アミタホールディングス株式会社が2023年5月に締結した、インドセメント・トゥンガル・プラカルサ(以下、インドセメント)とのMOUを基盤に、産業廃棄物のセメント原燃料化の事業化検討等に取り組み、セメント産業全体におけるCO₂排出量の削減及び循環型経済の促進を目指します。またマレーシアでは、2017年以降アミタが同国で展開する、産業廃棄物の100%リサイクル事業の知見を活かし、同国内における脱炭素モデルエリアの構築を推進します。
本事業を通して、アミタは各国における産官学民のネットワークを広げ、マレーシアにおける新規事業の検討、インドネシアにおける事業化確度の向上を目指します。

1.本事業について

本事業は、日本の自治体が脱炭素社会形成に関する技術、経験、ノウハウ等を活用して、新興国の自治体の脱炭素化を後押しする事業です。具体的には、日本の自治体が日本の研究機関、民間企業、大学と連携して、海外の自治体における脱炭素技術の導入・サービスの活用に向けた案件の発掘や実現可能性調査、また脱炭素化を推進するための制度構築支援等を行います。

2.採択事業①:インドネシア 西ジャワ州

採択内容

事業名 インドネシア 西ジャワ州におけるセメント産業の脱炭素化に向けた実現可能性調査
対象地域 インドネシア 西ジャワ州
期間 2023年7月(予定)~2024年3月(3ヵ年事業の1年目)
事業内容 西ジャワ州と連携し、サプライチェーン全体のCO₂排出削減を通して、セメント産業の脱炭素化を目指す。設備投資や天然資源の代替となるリサイクル資源(セメント原燃料)の利用等を通じて、セメント生産工程および廃棄物の排出元企業からのCO₂排出量の削減を統合的に実現するための調査を行う。
スケジュール 【1年目】
事業性判断に資する各種調査を実施
【2~3年目】
JCM設備補助事業※への申請や具体的な事業化準備の実施、新規関連案件の発掘調査等の実施を予定

※JCM設備補助事業(二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業) 途上国等への優れた脱炭素技術等の普及や対策の実施を通じ、実現した温室効果ガス(GHG)の排出削減へ日本の貢献を定量的に評価し、日本の排出削減目標(NDC)の達成に活用する二国間クレジット制度(JCM)の推進に向けて、JCMの下で行う脱炭素設備の導入事業に対して初期投資費用の一部を補助するもの。

インドネシアの現状と連携事業で目指すこと

インドネシアは世界第8位のCO₂排出国であり、COP26において「遅くとも2060年までにカーボンニュートラルを目指す」ことを表明しています。しかし、急速な都市化が進む同国において、継続的な需要拡大が予測されるセメント産業は、世界で2番目に大きなCO₂排出産業であるため、同産業の脱炭素への移行がカーボンニュートラル実現への重要課題となっています。
そこで、本事業ではセメント産業の脱炭素化を目指して、廃棄物の利活用によるCO₂排出抑制に加え、廃熱の工場利用やRDF(廃棄物固形燃料)生産等、サプライチェーン全体でCO₂削減を行う脱炭素・循環型モデルの構築に取り組みます。

事業の全体像とアミタの役割

本事業では、セメント生産工程におけるCO₂排出削減(スコープ1)から、セメント原燃料化を通したCO₂排出削減(スコープ2)、さらに、廃棄物の排出元企業や最終処分場からのCO₂排出削減(スコープ3)までを視野に入れた、総合的かつ分野横断的な施策を実施します。
アミタが担う事業(下図赤枠)では、現地連携企業であるジャバベカが保有する工業団地や他事業者から排出されるB3廃棄物(有害危険産業廃棄物)をセメントの代替原料・燃料に100%リサイクルすることを目指します。また、都市ごみから廃棄物固形燃料化を製造する技術を有する株式会社ビートルエンジニアリングと共同で、一般廃棄物由来原燃料の利用を検討します。その他連携を通じて、代替原料・燃料を大量かつ安定的にセメント製造工程に投入すると同時に、製品品質を保つ技術・ノウハウを提供する事業の実現可能性の検討も推進します。

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実施主体 事業内容
アミタ株式会社 サステナビリティ向上を目指す企業・自治体等を、ビジョン策定から実行実践まで統合的に支援(資源循環のほか、環境コンサルや認証審査サービス等を提供)。本事業では、産業廃棄物のセメント原燃料化で事業化を目指す。また、段階的にマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの事業展開も検討。
公益財団法人地球環境戦略研究機関 代表事業者を務め業務全体の統括、調査サポート、取りまとめを行うとともに、GHG削減効果の計算支援を担当する。
北九州市 産業廃棄物・都市ごみ管理のノウハウ共有や、行政サポートを担う。
インドセメント・トゥンガル・プラカルサ(インドネシア企業) インドネシア大手セメント製造会社の一つ。廃熱回収発電等設備の導入およびセメント原燃料の受入(オフテーカー)を担う。
ジャバベカ(インドネシア企業) インドネシアにおける大手工業団地開発・管理会社。セメント原燃料化に使う事業系・産業廃棄物の供給および低炭素設備の導入の役割を担う。
JFEエンジニアリング株式会社 エネルギー関連プラントや環境関連プラントの設計・建設・事業運営を行う、インドネシアに現地法人を持つエンジニアリング会社。セメント工場における廃熱回収発電JCM設備補助事業の実現を目指す。
株式会社ビートルエンジニアリング 資源リサイクル事業や産業廃棄物の中間処理を実施。一般廃棄物の堆肥化とRDF生産(セメント燃料化)を合わせた大規模中間処理施設の事業化を目指す。

※その他1社。採択事業一覧はこちら(該当No21)

3.採択事業②:マレーシア イスカンダル開発地域

採択内容

事業名 イスカンダル地域における脱炭素モデルエリア構築事業(フェーズ2)
(北九州市―イスカンダル地域開発庁連携事業)
対象地域 マレーシア イスカンダル開発地域
期間 2023年7月(予定)~2024年3月(3ヵ年事業の2年目)

事業の背景と内容

イスカンダル地域(以下、同地域)は、CO₂排出を抑えながら自然との共生を図るイスカンダル計画を2006年に開始し、現在も進行中です。また、同地域はASEAN各国の中心に位置し、シンガポールと並ぶASEANのビジネスハブとなることが期待されています。
このような背景の下、本事業ではエヌ・ティ・ティ・データ経営研究所、北九州市、日鉄エンジニアリング、アミタ、イスカンダル地域開発庁が連携し、横展開可能な脱炭素モデルエリアの構築を目指します。先行事業である「イスカンダル地域における脱炭素化促進事業(2019年度~2021年度)」では産業共生・エコタウン・廃棄物発電の事業化検討を行いました。そして、2022年度から開始している本事業では、産業部門の脱炭素化に向けたインフラ設備状況調査やコンソーシアム形成、民生部門における廃棄物発電設備導入や再生可能エネルギー導入に関する検討を実施しています。
アミタは本事業の2年目(フェーズ2)から参画し、活動1「産業部門の脱炭素化に向けた産業間連携プロジェクト創出検討(下図赤枠)」において、資源リサイクルに関するノウハウ提供を行うとともに、現地工業団地に入居する企業等とのコンソーシアム形成、および先行モデルプロジェクトを実施するための実行体制の構築を推進します。

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実施主体 事業内容
アミタ株式会社

サステナビリティ向上を目指す企業・自治体等を、ビジョン策定から実行実践まで統合的に支援(資源循環のほか、環境コンサルや認証審査サービス等を提供)。
本事業では、資源リサイクルのノウハウ提供に加え、異業種企業間の連携を推進。

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所

代表事業者を務め業務全体の統括、活動における調査検討(直接協議、経済性検討、CO₂排出削減量評価等)や事業化に向けた関係機関との調整を実施。
北九州市 脱炭素社会の実現に向けたノウハウ共有や、行政サポートを担当。
日鉄エンジニアリング株式会社 廃棄物発電の豊富な実績を有するサプライヤー。技術面で「民生部門の脱炭素化に向けた再生可能エネルギー導入」を検討。
イスカンダル地域開発庁 イスカンダル地域開発の責任機関。公共機関であり低炭素社会ブループリントの次の活動として廃棄物発電を中心に連携。

採択事業一覧はこちら(該当No19)

4.アミタが参画する意義

アミタは、無駄を生まない産業廃棄物の100%リサイクルをはじめ、脱炭素経営を目指す企業に向けた循環型ビジネスモデルへの移行戦略支援等、企業や地域の持続可能性向上に資するサービスを提供してきました。2017年からは国内で培ったノウハウを活かし、マレーシアにて現地企業と合弁会社を設立し、100%リサイクル事業を展開しています。本事業への参画を通じて、既に実績を積んでいるマレーシアでの新規事業の検討と、次に展開を見据えるインドネシアでの事業化促進を目指します。また、プロジェクトを進める中で、産官学民の新たな共創ネットワークを形成・獲得し、自社が有するノウハウの提供を通して、アジア全体での持続可能性向上を加速させていきます。

環境省による採択通知発表

令和5年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務採択結果について

関連リリース

2023年5月22日
アミタHD、インドネシア大手セメント会社PT Indocement Tunggal Prakarsa Tbk.社とMOUを締結~同国における脱炭素・循環型事業の進出を目指す~

2014年7月10日
アミタ(株)、環境省「平成26年度我が国循環産業海外展開事業化促進事業」への共同提案が採択。マレーシアにおける廃棄物の再資源化事業の「事業案件形成調査」を開始予定。

2013年8月6日
アミタ、環境省「平成25年度アジアの低炭素社会実現のためのJCM大規模案件形成可能性調査事業」への共同提案が採択される。インドネシアでセメントリサイクルによる温室効果ガス削減効果調査を開始。

<広報・取材に関するお問い合わせについて>
アミタホールディングス株式会社 広報担当:駒井・古城

TEL:075-277-0795 / メール:press@amita-net.co.jp

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