アミタHD、島嶼国における循環モデルの構築を加速 ーパラオ共和国での「島まるごと循環」の取り組みがJICA・環境省の2事業に採択ー

アミタホールディングス株式会社(以下、アミタHD)は、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)の「草の根技術協力事業(草の根パートナー型)」(上限1億円)と、環境省の「令和7年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務」(上限2000万円)に採択されました。本取り組みは、観光客の増加によって深刻化しているパラオ共和国の廃棄物問題の解決と、地域における資源循環の推進を目指すものであり、アミタHDが掲げる「島まるごと循環計画※」の実現を加速させるものです。

また、島まるごと循環計画に賛同し、多面的に連携いただけるパートナーを募集しています。ご関心をお持ちいただいた方は、お問い合わせ窓口よりご連絡ください。

島まるごと循環計画とは、エネルギー・資源・食が循環する、島まるごと循環を目指す計画。アミタHDは、2013年からパラオ共和国において、ごみの分別回収などの実証試験を含む調査を実施し、官民連携によるコンパクトな低炭素・循環型システムの構築を提案しています。

1.パラオ共和国が抱える課題

Palau_Koror.pngパラオ共和国は、ミクロネシア西端に位置する約300の島々からなる島国で、自然資源に恵まれ、観光を主要産業としています。しかし、食料やエネルギーなど生活資源の多くを輸入に頼り、観光以外に目立った産業がないため、外部環境の変化に非常に脆弱です。特に新型コロナの影響は深刻でした。また、観光客の増加に伴い、廃棄物処理や公衆衛生、気候変動による影響など、環境面での課題も顕在化しています。特に、人口の約7割が集中するコロール州では、処分場の逼迫や海洋汚染の懸念が高まっています。

こうした中、アミタHDはコロール州と連携し、未利用資源の循環活用を軸に、自国産業の確立と地域住民の安定した暮らしの実現を目指します。

2.受託事業

1) JICA草の根技術協力事業(草の根パートナー型)について

草の根技術協力事業とは

本事業は、国際協力の意思のある日本のNGO、民間団体、地方公共団体、大学等が、開発途上国の住民を対象に、その地域の経済及び社会の開発または復興に協力することを目的として、自己の利益に関わりなく行う国際協力活動です。中でも、草の根パートナー型は、開発途上国における国際協力に豊富な実績を有している団体を対象にしたもので、提案団体はその経験や強みを活かした事業の展開を期待されています。提案事業の実施期間は3年以内で、採択可能金額は上限1億円です。

採択事業の概要は以下の通りです。

テーマ リサイクル活動及びベラウ・エコ・グラス事業の強化プロジェクト
対象地域 パラオ共和国コロール州
事業概要

地域住民の意識・行動変容を通じてリサイクル活動を活性化し、同州の廃棄物管理事務所が運営するベラウ・エコ・グラス事業(廃ガラスを用いたガラス工芸生産・販売事業)の強化を図る。具体的な活動は以下の通り。

① 地域住民による、代替エネルギーの原料となる廃棄物の分別回収の普及・回収方法の確立
② プラスチック油化施設の稼働率を高め、使用するエネルギーのランニングコスト削減
③ ガラス制作技術を持つ人材の維持・拡大による生産力の安定化/技能継承・育成体制の確立
④ ブランド力向上に向けたマーケティングの強化

期間 3年間(2025年10月頃から2028年9月頃を予定)

背景と事業概要の詳細

コロール州では、廃プラスチック由来の再生油による発電で溶解炉を稼働させ、廃瓶を原料にガラス工芸品を生み出す「ベラウ・エコ・グラス事業」を、2021年から本格的に展開しています。しかし、同国ではエネルギーコストが極めて高く、事業運営に経済的な課題を抱えていました。同州では、代替エネルギー(油化発電やバイオガス)導入による運営コスト削減を計画していますが、エネルギー源となる廃プラスチックや生ごみを安定回収する仕組みの構築・運用が課題となっています。アミタHDとしても、今後の包括的な資源循環システム運営には自立的な運営基盤の構築が重要であることから、本事業への提案申請を行いました。

具体的には、日本国内外で展開している互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®」のノウハウを活かした住民参加型の分別回収システムの構築や、資源循環のストーリーを用いた共感マーケティングの企画支援、住民の環境意識を高めるイベント企画等に取り組みます。

アミタHDは2016年に同州と包括的資源循環システム構築に向けたパートナーシップ協定を締結しており、強固な協力関係を構築しています。この度の草の根技術協力事業を通じて、両者の連携をより加速させていきます。

今後の展望

今後は、現地住民の意識変革を基盤に、持続可能な資源循環モデルの展開と定着を目指します。特に、ベラウ・エコ・グラス事業の代替エネルギー活用に向けた運用体制を強化し、包括的な資源循環システム構築事業の迅速な立上げと安定運用を図ります。

また分別回収の普及・実証については、今回の対象である2地区100世帯を対象に実施し、将来的にはコロール州全域への拡大を目指します。持続可能かつ自立的な取り組みに繋がるよう、今後も現地協力機関や地域住民との連携を進めます。


2) 環境省 令和7年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務

※本事業内容は、4月17日発表のリリース「アミタHD、インドネシアで2027年内の循環資源製造所稼働に向け、事業基盤の整備を推進」にも一部掲載

都市間連携事業委託業務とは

日本の民間企業・研究機関等が、日本の自治体及び途上国のパートナー都市と連携し、脱炭素社会形成に関する案件の発掘・形成調査や制度構築支援、人材育成などをパッケージで展開するものです。事業費は、全地域一律で上限2000万円となります。

採択事業の概要は以下の通りです。

テーマ 脱炭素都市形成とコ・ベネフィット実現に向けた都市間連携事業
対象地域 パラオ共和国コロール州
事業概要

同国の主要産業である観光分野と包括的資源循環社会システム構築事業における、省エネルギー・再生可能エネルギー拡大を目指す。具体的には下記の通り。

① ゼロ・カーボンシティ宣言に向けた現状把握及び計画検討
② 未利用資源原料由来のRPF活用による脱炭素とコ・ベネフィット創出に向けたボイラー導入可能性調査
③ 州官公庁舎における再生可能エネルギー、省エネルギー設備導入検討調査
④ EVバス・EVパッカー車導入の資金獲得に向けたフォローアップ実施

期間 1年間(2025年5月頃~2026年2月を予定)

背景とアミタHDの役割

同国では、2013年から株式会社アミタ持続可能経済研究所(現アミタ株式会社)が資源循環事業の検討を進めており、2020年~2022年度の同委託業務では、脱炭素都市形成に向けて温室効果ガスの排出量の確認やEV車両の導入可能性調査に取り組みました。2023年度にはリゾートホテルやパラオ公共事業公社からの木質バイオマスの賦存量と熱需要、コスト構造の調査を行い、2024年度には木質バイオマスと容器プラスチックを混合した固形燃料(RPF)ボイラーの導入及び事業性に関する調査を実施しました。
本事業は、これまでの進捗と課題を踏まえ、事業概要の①②④を主対象として、未利用資源を活用した熱利用事業の実現可能性を引き続き調査します。

今後の展望

今後は、二国間クレジット制度(以下JCM(Joint Crediting Mechanism))の下で行う脱炭素設備の導入事業に対して、初期投資費用の一部を補助する「JCM設備補助事業」等の活用を検討し、省エネルギー・再生可能エネルギーの拡大を目指します。
また、未利用資源由来のエネルギーをリネンクリーニング用途に活用する熱利用 事業を検討しており、合弁事業参画の可能性も視野に、本事業に取り組みます。

Palau_release.png

<図:熱利用事業スキームのイメージ>

3. 連携の呼びかけ

今回採択された2件の事業を通じて、島嶼国の課題解決と官民連携による低炭素な循環型システムの構築を目指します。エネルギー・資源・食の地域内循環を実現するためには、多様なアプローチと共創が重要です。アミタHDでは、島まるごと循環計画に賛同し、多面的に連携いただけるパートナーを積極的に募集しています。今後も幅広いパートナーとともに、持続可能な社会の実現に向けて邁進していきます。

●連携パートナーについてのお問い合わせ窓口

https://amita.web-tools.biz/general-inquiry/

※広報・取材に関するお問い合わせは最下部をご覧ください。

関連リリース・お知らせ

2014.04.14
環境省「平成26年度アジアの低炭素社会実現のためのJCM大規模案件形成可能性調査事業」への共同提案が採択され、インドネシア・ベトナム・パラオでの調査事業を実施予定

2015.06.05
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2016.04.27
パラオ共和国コロール州とのパートナーシップ協定に調印。環境省委託業務の採択を受け、引続き事業化に向けた調査・検討を実施予定

2017.07.04
「パラオ共和国コロール州での包括的資源循環システム構築に向けた調査業務」がJICAの中小企業海外展開支援業務として採択

2020.05.25
北九州市および同市内企業と環境省「令和2年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務」を共同受託。パラオ共和国コロール州にてEV導入による脱炭素化推進に取り組みます。

2023.10.20
環境省の「脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務(2次公募)」を受託 ~インドネシア・マレーシアに続き、パラオでも官民連携による脱炭素を推進~

2024.04.08
アミタHD、現地大手企業と連携し、インドでの事業可能性調査を開始 -環境省の都市間連携事業委託業務にインド、インドネシア、パラオの案件が採択-

2025.04.17
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-環境省の都市間連携事業委託業務にインドネシア、インド、パラオの案件が採択-

<広報に関するお問い合わせ>
アミタホールディングス株式会社 広報担当 古城・藤岡
メール:press@amita-net.co.jp
URL:https://www.amita-hd.co.jp/contact/pr.html

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