「桃李 道を作る」〜 人は語らず、事業が語る 〜(2014年9月11日更新)
「桃李 道を作る」〜 人は語らず、事業が語る 〜
(2014年9月11日掲載)
「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す」(とうりいわざれどもしたおのずからけいをなす)という言葉があります。
桃や李(スモモ)は言葉を発することはないが、美しい花と美味しい実の魅力に惹かれて人々が集まり、その下に自然と道ができることを例えた言葉です。
そもそも、ビジネスの主役は、商品や、提供するサービス、もしくはそれらを提供する会社や組織であるのが正しい姿だと思います。事業家たる経営者は、価値作りのため商品や会社に魂を込めて、顧客や社員が手に届く「リアル」な事業を構築することを仕事にするべきです。そしてその事業を通じて社会課題を解決し、豊かな関係性を築くべきです。混沌とした時代ゆえに必要とされている事は「リアル」なのです。
アミタは「リアル」な事業として、今後の社会に必要な事業展開を進めています。
人口が増え、消費が増える20世紀モデルの社会課題と、人口は減り物質が充足した21世紀モデルの社会課題とは違い、今までの常識は変わります。今後は、資源、食料、エネルギーの調達リスクを解決するために、資源化出来るものを購入し、完全に再資源化する社会を作らなければならないのです。
例えば、日本の廃棄物焼却炉が、1,172施設稼働しています。そのうち築20年を超える施設が517施設あります。また、し尿処理施設が984施設あり、築20年を超える施設が788施設あります。これらの社会インフラは再構築の時期が近づいていますが、人口減少、超高齢化社会になれば廃棄物は減少するはずです。よって、今後は既存の設備の延長線上でインフラを構築してはなりません。これ以上、税金でわざわざ海外から重油を買い、水分が90%近い廃棄物を焼却し、埋立地を作って処分するようなことをしてはいけないのです。(注)
南三陸町での取り組みは、まさに地域のエネルギーを徹底して回収し、その残渣も再資源化する新社会システムであり、自立分散モデルの先駆けになります。このような小規模自立分散モデルの構築は、携帯電話や衛星放送のように、これから近代化が始まる開発途上国においても、社会課題解決のために有効な未来の社会システムの一つになりえます。(右図は宮城県南三陸町における地域循環モデルのイメージ図です。クリックすると拡大します。)
また、日本で37年間続けてきた産業廃棄物の100%リサイクル事業を海外展開する時が来ました。台湾への100%リサイクル工場進出は、現地での環境問題解決への寄与と、それにより生まれた環境への社会課題認識を通じて、持続可能社会の実現という価値の発見につながることを期待しています。
今は「百の論より、一つの証拠」の時代であり、人々が望む桃李を育てて、持続可能社会のプロトタイプを実現することで、道がその下に出来て新しい社会の方向性が示されることになると信じています。
我々は、幸せになるために懸命に努力した結果、多くの不幸を作ってしまいました。子供達に胸を張って喜んでもらうためには、希望に満ちた未来を感じる事業で語りたいものです。
(注)「一般廃棄物処理実態調査」(環境省)より。廃止施設、建設中施設除く平成23年末時点の施設数。
関連リリース
2014年9月11日
アミタホールディングス株式会社
代表取締役会長兼社長 熊野英介
会長メッセージ
※2013年3月11日より、会長・熊野の思考と哲学を綴った『思考するカンパニー』(増補版)が、電子書籍で公開されています。ぜひ、ご覧ください。
※啐啄同時(そったくどうじ)とは
鳥の卵が孵化するときに、雛が内側から殻をつつくことを「啐(そつ)」といい、これに応じて、母鳥が外から殻をつついて助けることを「啄(たく)」という。雛と母鳥が力を合わせ、卵の殻を破り誕生となる。この共同作業を啐啄といい、転じて「機を得て両者が応じあうこと」「逸してはならない好機」を意味するようになった。このコラムの名称は、未来の子どもたちの尊厳を守るという意思を持って未来から現代に向けて私たちが「啐」をし、現代から未来に向けて志ある社会が「啄」をすることで、持続可能社会が実現される、ということを表現しています。