ASC(水産養殖管理協議会)は11月1日に、ブリ・スギ類のASC養殖場認証の監査マニュアルを完成させ、同認証の対象魚種に追加しました。アミタは国内企業初の審査機関として、2017年中のブリ・スギ類の審査開始を目指します。
「ASC(Aquaculture Stewardship Council: 水産養殖管理協議会)」は、2016年11月1日に水産養殖場の国際認証制度「ASC養殖場認証」におけるブリ・スギ類の審査規格の完成を発表しました。日本は、世界のブリ類養殖の9割を占める重要な市場です。アミタホールディングス株式会社の事業会社であるアミタ株式会社(以下、アミタ)は、ASC養殖場認証審査機関として、2017年内にブリ・スギ類の審査開始を目指します。(ACC-MSC-020)
ASC養殖場認証「ブリ・スギ類」とその他対象魚種
ASCの審査規格は魚種ごとに作成されます。これまで、ティラピア、パンガシウス、サケ、エビ、マス、二枚貝、アワビの基準が策定されていましたが、今回、新たにブリ・スギ類が加わり、8つの基準となりました。日本は世界のブリ類養殖の約9割を占め、国内のブリ類の生産でも養殖が約5割を占めており、今後大きな影響が予想されます。また、スギは国内では主に沖縄で養殖されています。
アミタがブリ・スギ類のASC養殖場認証審査を開始するまでの流れ
アミタはブリ・スギ類の養殖場審査資格を得るために、2016年に審査員トレーニングを受講しました。明確な審査開始時期は未定ですが、2017年中の開始を目指しています。※カキなどの二枚貝に関する養殖場審査は既に可能です。
▼アミタのASC認証サービスについて:https://www.amita-net.co.jp/certification/marine/
ASC養殖場認証とは
2009年に設立された「ASC(Aquaculture Stewardship Council: 水産養殖管理協議会)」は、環境に大きな負担をかけず、地域社会(人権や労働等)に配慮した養殖業を認証する国際的な認証制度です(※1)。責任ある水産養殖業を認証する「ASC 養殖場認証」と、適切な加工・流通を行っていることを認証する「ASC COC認証」の2種類があります。アミタは2016年3月29日(火)に日本初となる「ASC養殖場認証」の認証機関として認定され、同審査・認証も日本で初めて行いました(※2)。
ASC認証を取り巻く社会背景
現在、世界の漁業総生産量は増加傾向にあり、養殖生産量も年々伸びています。一方で、2011年において28.8%の漁業資源は生物学的に持続できないような乱獲を受けており、責任ある水産物管理の重要性が高まっています(※3)。近年、オリンピック・パラリンピックや国際会議等の国際的イベントや公共性の高いイベント・施設において提供される食品については、持続可能で責任ある素材の調達が重視される傾向が高まっており、国内でも、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの採用に向けて関係各所からの期待が高まっています。(写真は日本初のASC養殖場認証を取得した宮城県漁業協同組合 志津川支所のASC認証製品)
(※1)環境への負荷、地域社会への影響等を評価するため、養殖場設置による自然環境の破壊、水質や海洋環境の汚染、エサとなる生物の過剰利用等に関する審査項目が魚種ごとに設定。
(※2)ASC養殖場認証の認証機関として認定されるためには、ASCが規定する認定機関の監査の下で審査を行う必要があります。2015年11月に南三陸で実施した審査についても、監査官同席による認証審査を実施し、アミタが認証機関として正式に認定(日本初)された上で、宮城県漁業協同組合志津川支所の「ASC養殖場認証」の正式取得となりました。
(※3)国連食糧農業機関(FAO)「The State of World Fisheries and Aquaculture 2014」参照
ASC認証の規模(2016年10月26日時点)
世界の養殖認証取得数 | パンガシウス・・・37件 ティラピア・・・39件 サーモン・・・154件 トラウト・・・22件 二枚貝・・・16件 エビ・・・63件 アワビ・・・3件 |
世界の認証審査中養殖 | パンガシウス・・・2件 ティラピア・・・4件 サーモン・・・40件 トラウト・・・13件 二枚貝・・・23件 エビ・・・22件 アワビ・・・1件 |
世界のCOC認証取得者数 | 1,024件 |
世界のASC製品数 | 6,559点 |
※ASCウェブサイトより
アミタの認証実績
1999年に日本初のFSC®森林認証審査会社として環境認証審査サービスを開始して以来、MSC COC(水産資源の加工・流通)、ASC COC(水産養殖資源の加工・流通)の認証機関として、それぞれアジアで初めて認定されており、環境認証のパイオニアとして国内の様々な地域で認証審査サービスを実施しています。2016年にはASC養殖場認証機関としてアジアに本社を置く企業として初めて認定されました。なおFSC®のFM認証およびプロジェクト認証、MSC COC認証ではそれぞれ国内シェアNo1で、FSC®プロジェクト認証実績は世界シェアの約1割を占めています。
アミタ株式会社の2015年環境認証サービス実績
関連リリース
2016年9月:アミタはFSC®プロジェクト認証で世界の約1割、国内の約7割を審査しています。
2016年3月:日本で初めて「ASC養殖場認証」の認証機関に認定され、宮城県南三陸町のカキ養殖業に同認証を発行
2015年12月:「ASC COC認証」取得についての説明会を宮城県南三陸町で開催
2015年11月:宮城県南三陸町で、日本初となる「ASC養殖場認証」の審査を実施
2012年10月:アミタがアジアで初めて「ASC COC認証」の認証機関に認定
アミタグループの提供サービス
アミタグループは1977年の創立以来「持続可能社会の実現」をミッションに事業を行っており、現在環境戦略デザイン事業と地域デザイン事業の2つの事業を行っています。1999年に日本で初のFSC®森林認証審査会社として環境認証審査サービスを開始し、2006年にはMSC COC認証審査サービスを開始しました。そして、2010年にMSC COC認証機関として、2012年にはASC COC認証機関、2016年にはASC養殖場認証機関としてそれぞれアジアに本社を置く企業として初めて認定されました。
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